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「物価上昇より労働分配率上昇」確かにその通りだけど

エンゲル係数の急上昇は何を意味するのか
という記事の中で

2016年の家計調査では、エンゲル係数が大きく上昇して1980年代後半以来の高い水準になったことが話題となった。

と書かれています。
その大きな原因を、所得が伸びないためとして

ここ数年のエンゲル係数の急上昇は人口構造の変化だけでは説明がつかず、所得が伸びない中で必需的な消費の代表である食料の物価が相対的に高い上昇率となったことが大きな原因であると考えられる。このことは、賃金上昇率が高まることによって物価の上昇が加速するという順番でデフレからの脱却が起こるのであれば問題はないが、物価上昇が賃金上昇よりも先に起こるという順番では、実質所得の減少から消費が低迷してしまい、結局デフレ脱却が頓挫してしまう危険性を高めることを示唆している。

このように述べています。

その解決のために

GDP(国内総生産)やNI(国民所得)の中からどれだけの割合が賃金として支払われたかを表す労働分配率は、多くの先進諸国で低下傾向にある。日本の消費を持続的に拡大するためには、労働分配率の上昇が必要だ。


として労働分配率の上昇が不可欠、としています。

確かに、労働分配率は低下傾向にあります。
みずほ総合研究所の「労働分配率の低下を止められるか」のグラフを見ると以下のようになります

先進国の労働分配率
先進国各国が労働分配率が低下していますが、その中でも日本の労働分配率の低下が強いことが分かります。

ただ、
1:労働分配率の計算式は多種あり、どの計算式を使用するかで、出る結果が異なる
2:さらに、産業構造も労働分配率を変動する
3:大企業と中小企業の比率も労働分配率に影響する
4:正規雇用と非正規雇用
などの問題点があります。

1に関しては
たとえば、
財務省の「法人企業統計年報」で採用されている、

「労働分配率=人件費/付加価値」

と、内閣府「国民経済計算」で用いられている

「労働分配率=雇用者報酬/要素費用表示の国民所得」

では、異なる労働分配率を示します。
昨今のように、高齢化が進み、医療や福祉部門の雇用者が増えると、医療福祉法人ばかりが増え、企業法人はそれほど増えない、さらに、医療福祉分野の法人は公費(社会福祉費用)による運営が多くの部分を占めるので、GDPへの寄与は少なく(社会保障費からの雇用者報酬ばかりが増えているため、労働分配率は増えているように見えても、財政はひっ迫するばかり)、さらに企業所得の配分増にも、ほとんど寄与していない(医療福祉法人の雇用者報酬は、企業統計の人件費に含まれるのは一部)ことになります。

このような側面を無視して、労働分配性の現象だけを取り上げるのは、どうなのかと思うんですよね。

2については
平成27年企業活動基本調査速報を見てみると
業種によって、労働分配率に大きな違いがあります。
たとえば、電機・ガス業界やリース、クレジット関連業種などは労働分配率が低く、飲食・サービス・出版系企業は、労働分配率が高い傾向にあります。
さらに、最近は、アイデア(ソフト)だけが国内、製造(ハード)は低賃金国への外部委託、の形態をとる企業も増えて、さらに労働分配率の低下をもたらしています。

3については
大和総研の企業の利益分配から見た賃金・設備投資の先行き
労働分配率低下の問題はどこにあるか を見てみると
中小企業、特に個人企業は労働分配率が高く、特に個人企業家の労働分配率はずっと高止まりしている
これに対して、大企業は、労働分配率が中小企業や個人企業に比べて相対的に低い。というのが、一般的傾向なのですが、
日本においては、新規起業数が、減少傾向にあり、中小企業や個人企業の比重が相対的に低くなっている。
この企業構造の変化も労働分配率低下の原因の一因となっている可能性があります。

4に関しては、
正規雇用に対する、非正規雇用者数の相対的、絶対的数の上昇が、労働分配率にも影響していると考えられます。
当然ですけれど、正規雇用の比率が多ければ労働分配率が高く、非正規雇用が多ければ労働分配率が低いと考えられます。
しかし、これに関しても、労働分配率上昇のために非正規雇用を正規雇用かすべき、という論には、疑問符が付きます。
正規雇用の雇用の固定化(所謂終身雇用)は日本企業においてはいまだに、諸外国に比べると、強く、雇用の流動性の確保も同時の行わなければならないのでしょう。
さらに、少子高齢化に伴う、社会保障費の上昇(社会保障費の雇用者側の半額負担)が、正規雇用の拡大を阻止しています。


私のような、まったくの素人が考えても
労働分配率を取り巻く状況は、多様です。

労働分配率低下→収入減少→エンゲル係数増加
だから、労働分配率を上げろ、
というフローチャートは、一面を表していはいますが
それだけで終わるものでもないですよね。

ホント、労働分配率一つとっても、とっても面白い
ヒマって良いですね。
あれこれと、どうでもよいことを考えられます。

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コメント

No title

へえ、先進国共通で下がっているのですか。。。
労働分配率が下がるということはそのぶん、社内留保や配当が上がっているのかな。
あ、だから配当性向は上がり気味なのかな。
労働者を泣かせてますます資本家がトクをする時代に。
やはり株を買わずにはいられませんw

Re: No title

招き猫の右手さん、コメントありがとうございます

> へえ、先進国共通で下がっているのですか。。。
> 労働分配率が下がるということはそのぶん、社内留保や配当が上がっているのかな。
> あ、だから配当性向は上がり気味なのかな。
> 労働者を泣かせてますます資本家がトクをする時代に。
> やはり株を買わずにはいられませんw

産業構造の変化や、社会の変化などにも関連するから
一概に労働分配率低下がイカン、とも言い切れないんだけど
ジニ係数とか見ると、資産の再配分をより進める必要があるんだろうとは思うんです。
もちろん、有効な方法としての投資、ということも言えますよね^^

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